電子制御工学科・学科紹介
1.電子制御工学科とは
電子制御工学科は,産業界などからの強い要請に基づいて,平成3年4月に,機械工学科の中の1クラスを組織替えして作られました.また,平成12年度からは電子制御工学科と機械工学科の学習内容を基盤とした専攻科 機械・電子システム工学専攻が設置されました.また機械・電子システム専攻には男子23名が在学しており,うち10名が電子制御工学科の卒業生です.それでは,電子制御工学科とはどのような学科なのか,ご紹介いたしましょう.
現在ほどまだ技術が発達していなかった段階では,機械の運転や操作は人間を介して行われていました.しかし最近のコンピュータの目ざましい進歩や発展に伴って,今まで人間が行ってきたいろいろな仕事を,人間に代わってコンピュータに行わせることができるようになりました.例えば自動車の生産工場では多くの溶接ロボットが人間に代わって休むことなく溶接作業を行っていますが,これはロボットの中に組み込まれているコンピュータの働きによるものです.また私達の身近にある電気炊飯器や洗濯機,エアコン,石油ファンヒータ等もボタンの操作一つで自分の希望通りに電気製品を動作させることができますが,これらもそれぞれに内蔵されているマイコンと呼ばれる小さなコンピュータの働きによるものです.その他,船舶・自動車・航空機・鉄道・工作機械・医療機械など,最近ではほとんどの機械・装置にコンピュータが組み込まれており,従来の制御方式に加えて人工知能やファジイ理論を応用した新しい制御手法と相まって操作性・快適性・安全性の向上に大きく役だっています.このように,電子制御工学科では,従来人間を介して行っていたこと,あるいは人間では出来なかったような難しくてきつく危険な仕事を,コンピュータを活用して機械に行わせるための知識や技術を習得出来るように学習内容が決められています.
2.出身中学一覧
本校には,県下一円からはもちろんのこと,県外からの学生もいます.また,外国からの留学生や工業高校から4年次への編入生もおり,バラエティーに富んだ学生の集まりになっています.
国分,隼人,加治木,国分南,帖佐,舞鶴,皇徳寺,紫原,重富,東谷山,日当山,伊集院北,吉田南,溝辺,南指宿,加世田,吉野東,細山田,山川,山野,川内北,川辺,第一鹿屋,谷山,日吉,霧島,蒲生,吉野,栗野,犬田布,吾平,桜丘,鹿屋東,城西,吹上,垂水南,星峯,清水,西陵,大口,大口南,大根占,大崎第一,内之浦,菱刈,武,北指宿,陵南,安房,伊敷,伊敷台,河頭,花岡,開聞,鴨池,喜入,金峰,祁答院,古仁屋,恒吉,高山,国見,財部,市来,志布志,鹿大付属,小瀬田,松元,垂水,西紫原,谷山北,鶴河内,天保山,田崎,東市木,樋脇,武岡,平成,枕崎,木原,立神,緑丘,和田,飯野(宮崎)
3.電子制御工学科についてのQ&A
Q1.電子制御工学科ではどんなことを勉強するのですか?
A1.
電子制御工学科では,コンピュータで機械や装置をコントロールするための勉強や研究をする訳ですが,そのためにはしっかりとした基礎学力を身に付けなければなりません.この基礎学力には技術面ばかりでなく,立派な社会人・国際人となるための一般科目も当然含まれており,これらは全学科で共通して学習するようになっています.
学校要覧を見てもらうと,むずかしそうな科目名が並んでいるかと思いますが,これらは@工学基礎,A機械工学,B電気・電子工学,C計測・制御工学,D情報・システム工学,E製図・実験・実習,F卒業研究に区分され,バランスよくカリキュラムに組み込まれています.イメージとして,まず数学,物理等の工学基礎を土台として,機械工学,電気・電子工学,計測・制御を学んでメカトロニクスの基礎を固めた上,応用分野としての情報システムに挑みます.これらの電子制御技術がしっかり身に付くように実験・実習で両サイドを固め,最後は卒業研究で仕上げるというカリキュラム編成となっています.
Q2.実験や実習はどんなことをするのですか?
A2.
高専における教育の特色として「工学的センスと実践力のある開発研究型技術者の養成」があげられます.単に知識や理論を修得するだけであれば,教室で講義を聞き,専門書を読むことで可能かもしれませんが,それだけでは完全に理解し,技術を身につけることは難しく,実習・実験を通して体得することが必要となります.このため,1・2年生では,工作法などを実習し,理論と実際の対比を行いながら物を作る技術の基礎を体得できるようにしています.3年生では「オームの法則」の実験,オシロスコープの使い方,ダイオ
ード・トランジスタの静特性測定など電気・電子関係の基礎実験を行うようにしています.4年生では論理回路の特性測定,直流サーボモータの特性測定,マイクロコンピュータなどの電気・電子関係の応用実験を行い,5年生ではセンサーの特性実験,レーザ加工,プロセス制御などの実験を行います.
Q3.電子制御工学科にはどのような人が向いていますか?
A3.
電子制御工学科にかぎったことではありませんが高専では,低学年から数学や理科の授業が多く,これらの知識をもとにして専門科目の授業が進められます.このため,一般的に言って数学や理科が好きで,理解力のある人がよいと思います.また,電子制御工学科では,機械,電気,コンピュータなどを総合的に教育・研究を行うため,これらに興味や関心のある人が向いています.このほか,国際化社会に対応できる技術者として,英語も好きな人がよいでしょう.そして,何より,21世紀の日本を支える技術者となって大いに活躍したいという希望に燃えていることが大切です.
また,本校のアドミッションポリシーでは,以下のような人を求めています。
1.論理的な思考ができる人
2.もの作りが好きな人
3.プレゼンテーション能力のある人
4.21世紀の世界を支える技術者として,大いに活躍したいという夢のある人
Q4.女子は何人くらいいますか?
A4. 現在,電子制御工学科には,女子学生が16名在学しており,男子と同等或いはそれ以上によく頑張っています.
Q5.建物や設備はどうですか?
A5.
最新の設備を整えた電子制御工学科棟で実験や卒業研究などが行われます.本棟2階の計算機室にはワークステーション(高機能コンピュータ)を中心とした計算機が導入されていて,情報処理の授業や研究などで活躍することになります.そのほかロボット,モデルプラント等の実験・研究設備や,オシロスコープ,トランジスタ実験装置,論理回路実験装置などの各種実験用機材も充実しています.
Q6.専攻科ではどのようなことをするのですか?
A6.
5年間の本科修了後,さらに本科で修得した知識及び技術を2年間深めることにより,4年生大学の学部卒と同じ学士の資格が得られます.また大学院の受験資格も得られます.大学の工学部と比べて,定員が1学年8名と少ないため,少人数教育が行え,きめ細やかな指導が受けられます.また,本科4,5年,専攻科1,2年に渡って構成されている教育プログラム「環境創造工学」を専攻科修了と同時に修了することにより,修習技術士(応用理学)の資格を得ることが出来ます.
Q7.コンピュータ教育について説明して下さい.
A7.
電子制御に限らず,技術者にとってコンピュータの利用技術は非常に大切です.高専には,教育用のコンピュータやたくさんのパソコンがあります.電子制御工学科棟にもA5で述べたように計算機室が設けられ,ワークステーションを中心とした高機能コンピュータが導入されています.このように高専のすべての学生は,コンピュータの扱い方やプログラムの書き方などを勉強し,情報化社会の技術者として必要なコンピュータ利用技術を習得することができます.
具体的には,電子制御工学科では1年次に「電子制御基礎」,2年次には「情報処理T」,3年次には「情報処理U」,4・5年次では「電子計算機」等のコンピュータ教育が行われています.電子制御工学科ではコンピュータを道具として使用し,機械や装置を制御することを主テーマとしているため,コンピュータ利用技術は特に大切です.
Q8.卒業後の就職や進学状況はどうですか?
A8.
本年3月に第12期生が卒業し,現在,第13期生が就職,進学活動を行っています. 第1〜12期生の実績もさることながら,今年度(平成19年度)は18倍以上の求人倍率を保っており,大学以上の就職率を得ています.また,進学においては,約3割の学生が専攻科,大学に編入学しています.
4.学生へのアンケート
電子制御工学科入学生に,本校を受験した動機や入学後の感想を聞いてみました.
(1)受験の動機
A:「コンピュータを用いて機械を制御する分野はこれから伸びてゆく分野であり,仕事のやりがいがあると思ったから.」
B:「エンジニアになりたいと思っていて,機械,電気,情報について総合的に勉強できるから.」
C:「ソフトにもハードにも興味があり将来はエンジニアになりたいと思っていたから.
そして女性エンジニアってかっこいいと思ったから.」
D:「ロボットコンテストに出てみたかったから.」
E:「就職率がよいと聞いたから.」
F:「実験室や図書館など学習のための設備が整っており,大学への編入学の道も開かれているため.」
G:「5年間みっちり勉強して専門の技術を身に付けると共に,寮生活や部活動で自分を鍛えたい.」
H:「普通高校に入学して大学受験のために時間を割くよりも,高専に入学
して専門の勉強を5年間一貫して学び,技術者になりたいと思った.」
I:「兄がこの鹿児島高専に在学していていろいろ話を聞いたり,
また中学校の先生からも説明を聞いて電子制御へ進みたいと思った.」
(2)入学後の感想
A:「意外にも休みが多く自分のための時間が多くとれるようになってうれしい.」
B:「寮生活が楽しい.先輩との交流が多くアドバイスしてもらえるのがよい.」
C:「初めの1ヶ月はいろいろきつかったが慣れてくると多くの設備があることに気づき少し驚いた.」