セ     ミ ナ     ー

霧島確率論セミナー

世話人:松浦將國(鹿児島工業高等専門学校)
場所は各回の案内をご覧下さい.

目次

第10回

日時:2024年3月27日,15:30~17:00.
場所:鹿児島工業高等専門学校イノベーションコモンズ(旧合併教室)
講演者:土田兼治(防衛大学校総合教育学群数学教育室)
題目:On some estimates of symmetric stable-type processes with singular or degenerate L\’evy densities
概要:非局所項しか持たないディリクレ形式を考える.そのジャンプ核が原点付近で対称安定過程のジャンプ核と比較できないようなものに対しても,ある条件の下では,そのディリクレ形式から対称マルコフ過程が構成できることを述べ,そのマルコフ過程の様々な性質を紹介する.
備考:この講演は鹿児島高専テクノクラブ(KTC)の経費助成のもと開催されます.

第9回

日時:2024年3月27日,13:40~15:10.
場所:鹿児島工業高等専門学校イノベーションコモンズ(旧合併教室)
講演者:天羽隆史(福岡大学理学部)
題目:Simple Variational Inference Based on Minimizing Kullback–Leibler Divergence
概要:本講演では,真の分布を推定するための新しい手法を導入する.統計モデルを固定し,パラメータの事前分布を変化させたベイズ統計モデルから推定分布を求める手順を構築する.そして,推定分布からの真の分布のカルバック・ライブラー発散を考え,事前分布に対するカルバック・ライブラー発散の変分公式を導出する.次に,臨界点である事前分布をシミュレーションするためのニュートン・ラプソン法を確率単体のリーマン幾何学に基づいて提案する.この方法は,真の分布からのサンプルが得られれば,真の分布に関する他の知識がなくても実行できる点に妥当性をもつ.また用いる幾何学には,Vinbergの斉次凸円錐の理論に現れる,特性関数から誘導されるリーマン幾何学を用いる.この幾何学の副産物として,カルバック・ライブラー発散がゲージ変換の対数であるという解釈を導く.このことから,真の分布を想定することはゲージ固定にほかならないという視点が得られ,このゲージ理論としての描写は統計学の文脈にマッチしていると思われる.また,我々の方法論がどの程度有効であるかについて,いくつかの数値結果を示す.
備考:この講演は鹿児島高専テクノクラブ(KTC)の経費助成のもと開催されます.

第8回

日時:2023年3月3日,15:30~17:00
場所:鹿児島工業高等専門学校イノベーションコモンズ(旧合併教室)
講演者:松浦將國(鹿児島工業高等専門学校)
題目:On absolute continuity for h-transformed measures by subcritical Kato potentials
概要:2002年頃からRoynetteやYorらによりFeynman-Kac処罰問題というGibbs測度の極限問題が考えられてきた.私は2010年頃からFeynman-Kac汎関数が時間不連続で単調増加な場合に処罰問題に取り組んできたが,極限測度を与える乗法型マルチンゲールはh変換型のものだった.本講演では,その極限測度自身が時間無限大の場合に与えられた確率測度と絶対連続になるかを,Feynman-Kac汎関数の平均がマルコフ過程の出発点と無関係に上限を持つ場合(Feynman-Kac汎関数を与えるポテンシャルが劣臨界的な場合)に検討する.

第7回

日時:2022年10月28日,15:30〜17:00
場所:鹿児島工業高等専門学校イノベーションコモンズ(旧合併教室)
講演者:塚田大史(鹿児島大学理学部)
題目:Pathwise uniqueness and non-confluence property of SDEs driven by stable processes
概要:1次元安定過程により駆動される確率微分方程式を考える.対称安定過程の場合,解の道ごとの一意性が成り立つ係数の最良なヘルダー条件が知られている.本講演では,狭義安定過程の場合について解の一意性条件および非合流条件を紹介する.

第6回

日時:2022年9月9日,15:00〜16:30
場所:鹿児島工業高等専門学校イノベーションコモンズ(旧合併教室)
講演者:長田翔太(鹿児島大学教育学部)
題目:点過程の対数微分と無限粒子系のダイナミクス
概要:点過程に付随するディリクレ形式を用いた無限粒子系のダイナミクスの構成について論じる.ダイナミクスの構成は従来,Dobrushin-Lanford-Ruelle(DLR)方程式や準Gibbs性といった点過程の局所密度関数の評価を介して行われてきた.本講演では,対数微分と呼ばれる点過程に付随するCampbell測度の超関数の意味での微分の可積分性によるダイナミクスの構成について論じる.

第5回

日時:2020年2月5日,15:45〜17:15
場所:鹿児島工業高等専門学校合併教室
講演者:久保田直樹(日本大学理工学部)
題目:フロッグモデルにおける粒子の拡散について
概要:フロッグモデルは,正方格子上にランダムに配置されたactiveまたはsleepingのどちらかの状態を持つ粒子が,ある規則に従って時間発展する様子を記述する数理モデルである.時間発展とともにactiveな粒子によって訪問される領域は拡大していくが,それは粒子の初期配置に大きく依存している.そこで本講演では,「近い初期配置から発展するフロッグモデルにおいては,activeな粒子によって訪問される領域の漸近挙動も近くなるのか?」という連続性の問題に関して得られた結果を紹介する.
備考:この回は公益財団法人米盛誠心育成会研究助成(題目「ファインマン・カッツ汎関数に関する確率解析」,代表者:松浦將國(個人))による経費助成の下開催されます.なお,今回は水曜日に開催されます.

第4回

日時:2019年12月13日,15:45〜17:15
場所:鹿児島工業高等専門学校中会議室
講演者:野場啓(大阪大学基礎工学部)
題目:On the bail-out dividend problem for spectrally negative Markov additive models
概要:保険会社が自社の資産から配当金を支払い,破産しないよう資本注入を受けるとき,その配当金と資本注入から成る期待正味現在価値を最大化する戦略が何か,ということが問題となる.このような最適戦略を求める問題を,資本注入を含むde Finetti最適配当問題と呼ぶ.Perez-Yamazaki-Yu(2018)は,保険会社の資産を正の跳びを持たないLevy過程で表し,そこから時間に絶対連続になるように配当金を支払い,破産しないよう適宜資本注入を行う場合,屈折-反射戦略が最適戦略であることを示した.
近年保険数学において,Levy過程を一般化した確率過程である,Markov加法過程が注目を浴びている.Markov加法過程とは,独立なMarkov連鎖の値に合わせて,異なるLevy過程の挙動をする確率過程のことを指す.Markov加法過程を用いたde Finetti最適配当問題の先行研究は,標本路が連続なMarkov加法過程に対して反射戦略の最適性を示したJiang-Pistorius(2012) によるものがある.本研究では,保険会社の資産を正の跳びを持たないMarkov加法過程で表し,そこから時間に絶対連続になるように配当金を支払い,破産しないよう適宜資本注入を行う場合,屈折-反射戦略が最適戦略であることを示した.
備考:この回は公益財団法人米盛誠心育成会研究助成(題目「ファインマン・カッツ汎関数に関する確率解析」,代表者:松浦將國(個人))による経費助成の下開催されます.なお,諸事情により時間変更となる場合がございます.

第3回

日時:2019年11月22日,15:45〜17:15
場所:鹿児島工業高等専門学校中会議室
講演者:田原喜宏(長岡工業高等専門学校)
題目:Compactness of Markov and Schroedinger semi-groups
概要:Markov過程が既約性,強Feller性および緊密性を持つという仮定のもと, その半群はL^2-コンパクトであることが竹田雅好氏の最近の研究で明らか にされた.本講演では,その結果を応用して得られる幾つかの具体的な Markov半群及びSchroedinger半群のコンパクト性について述べる.更にこ れらに関連して,Green緊密ではあるが,非可積分な関数の例を述べる.
備考:この回は公益財団法人米盛誠心育成会研究助成(題目「ファインマン・カッツ汎関数に関する確率解析」,代表者:松浦將國(個人))による経費助成の下開催されます.なお,諸事情により時間変更となる場合がございます.台風19号の影響により延期となっておりました.

第2回

日時:2019年2月15日,16:00〜17:30
場所:鹿児島工業高等専門学校中会議室
講演者:永沼伸顕(大阪大学基礎工学部)
題目:Asymptotic expansion of the density for hypoelliptic rough differential equation
概要:本講演では,非整数Brown運動により駆動される確率微分方程式を考える.ラフパス解析を用いて定式化された方程式の解は,自然な仮定の下で,分布密度を持つことが知られている.この分布密度の短時間における漸近挙動について得られた結果を紹介する.本講演は,稲浜譲氏(九州大学)との共同研究に基づく.
備考:諸事情につき,この回は中会議室にて開催致します.

第1回

日時:2018年9月13日,16:00〜17:30
場所:鹿児島工業高等専門学校大講義室
講演者:西森康人(阿南工業高等専門学校)
題目:分枝過程の最大値過程の極限分布について
概要:分枝ブラウン運動の最大値過程の極限分布について,現在取り組んでいる問題を紹介した.d次元ユークリッド空間を分裂しながら移動する粒子の確率モデルを分枝過程という.各時刻tにおいて原点から最も遠いところにある粒子までの距離を時刻tの関数とみたとき,これを最大値過程という.BocharovとHarrisは1次元分枝ブラウン運動で原点のみで 分裂する場合について考察し,その最大値過程の極限分布がガンベル分布になることを示した.本講演では彼らの結果を一般化した場合にも極限分布にガンベル分布が表れるだろうということを説明した.
備考:この回は公益財団法人米盛誠心育成会研究助成(題目「ファインマン・カッツ汎関数に関する確率解析」,代表者:松浦將國(個人))による経費助成の下開催されます.